2012年12月13日

オルドヴァイ理論を読む8

長く読んで来たオルドヴァイ理論もこれで最後で、
オルドヴァイ理論の人口シナリオと成長の限界シナリオの比較である。


2.オルドヴァイ理論と世界の人口

『(恒久的な停電の結果として)文明化した全ての国で工業が停止し、そのために、何百万人の失業者が発生し、製品の生産が完全に削減され、未曾有で不治の窮乏がおこり、人口の4分の3が死亡し、残りが悲惨な状況に置かれる(Thirring,1956,p.135)』

この文には、オルドヴァイ理論の仮説3(2008年頃からeの変化率は深く負に傾く)に用いたデーターは使えない。
議論の為に、仮説3は後に取っておき、自立して育って来た多くの研究と一致する仮説4(人口に関するオルドヴァイシナリオ)を示す。

スクリーンショット(2012-12-06 20.13.03).png



オルドヴァイ理論のシナリオにおける人口のピークは、2015年に起り69億人に達する。(図4、曲線2)
注意しなければならないのは、オルドヴァイシナリオは、2012年までの間は、LTGのシナリオとほとんど同じである。
しかし、その後、オルドヴァイ理論のシナリオは下に向かって分岐する。
従って、LTGシナリオがピークになり、74億6000万人になる2027年には、
オルドヴァイシナリオでの人口は、52億6千万人まで減少しており、
これは1990年と同じ値である。

この差は時間が経つに連れて増加する。
つまり、LTGシナリオで世界人口が64億5000万人になる2050年に、
オルドヴァイ理論のシナリオでは、20億人にまで減少している。
この値は1925年のものと同じである。

LTGのシナリオとオルドヴァイ理論のシナリオの違いは、
主に成長の限界モデルでは明確に世界のエネルギー生産を含まないのに対し
オルドヴァイ理論では含んでいる。
(Duncan,1989, 1993, 1996, 2000, 2001, 2003, 2004; Duncan&Youngquist,1991)

さらに、オルドヴァイ理論は、恒久的な停電を専門にしている。
この停電は、一カ所一カ所、地域地域で起り、時間が経つにつれ、世界中へ広がっていくが、これが工業文明の崩壊の最も近い(直接的で、迅速な)原因である。
一方で、成長の限界モデルは、多くの崩壊の根本的な(間接的で、遅れた)原因、特に工業製品とサービスの投資資金の不足、であると言える。
従って、LTGとオルドヴァイ理論のシナリオは、矛盾せず、相補的である。

オルドヴァイ理論のシナリオは、世界人口が急速に工業以前のレベルまで減少するという予測において、始めてでも、独特でもない。
たとえば、1949年のKIng Hubbert、1956年のHans Thirring、1996年のDavid Pimentel、2003年のRichard Heinbergなどがある。(詳しくは論文参照)

全ての人口シナリオは予測である。
時間だけが教えてくれるだろう。

この記事は、Richard C. Duncanの『The Olduvai Theory Enery, Population, and Industrial Civilization』winter2005-2006, The Social Contractをもとにしています。
原典は、ネット上で無料公開されており、英語版のウィキペディアにリンクがあります。

また、論文中で挙げられている『成長の限界』のシリーズは、
The Limits to Growthが『成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』、
Beyond the Limitsが『限界を超えて―生きるための選択』、
Limits to Growth:The 30-year Updateが『成長の限界 人類の選択』
として邦訳がダイヤモンド社から出版されている。
posted by 宗像 at 12:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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